今回は甲子園に出場した高校の中で、管理人が最強だと考える高校をランキング形式で発表する。「◯◯年の△△高校」という形式ではなく、様々な世代を通しての高校としての強さ、これまでの甲子園での印象からランキングを付けている。あくまで一個人が決めたランキングなので、賛否両論はあるかと思う。

ちなみに、2019年に放送された『ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙~最強高校編~』では、このような結果となっている。

1位:大阪桐蔭(大阪)
2位:PL学園(大阪)
3位:智辯和歌山(和歌山)
4位:横浜(神奈川)
5位:早稲田実(東京)
6位:中京大中京(愛知)
7位:天理(奈良)
8位:仙台育英(宮城)
9位:明徳義塾(高知)
10位:広陵(広島)
11位:松山商(愛媛)
12位:東海大相模(神奈川)
13位:星稜(石川)
14位:池田(徳島)
15位:帝京(東京)
16位:広島商(広島)
17位:常総学院(茨城)
18位:報徳学園(兵庫)
19位:東北(宮城)
20位:駒大苫小牧(北海道)


※総選挙との違い※

・20世紀の成績で判断(21世紀の成績は考慮しない)
・春夏の成績で判断

10位:平安(京都)
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出場:75回
通算成績:103勝71敗
優勝:4回
準優勝:4回
初出場:1927年(夏)
直近:2019年(春)
主なOB:岡村俊昭、辻井弘、金田正泰、原田清、近藤和彦、阪本敏三、衣笠祥雄、江島巧、桧山進次郎、川口知哉、赤松真人、炭谷銀仁朗

古都の名門校が10位にランクイン。40年代までは毎年甲子園に顔を出しており、戦後に入ってからもその実力が衰えることはなかった。1938年夏、1951年夏、1956年夏に優勝。70年代に低迷期を迎えたが、原田英彦監督が就任してからは再び甲子園常連校となり、1997年夏には川口知哉(のちオリックス)の好投で準優勝。2014年春には初の選抜優勝を達成した。現在でもコンスタントに出場回数を重ねている。『ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙~最強高校編~』でランクインしなかったのは、近年では初戦敗退が目立っており、戦前~50年代に強さを発揮していたからだと思われる。

【支持層(予想)】80代〜
【ポイント・名場面】①甲子園最多出場回数、②延長14回、雨中のナイトゲーム

①甲子園最多出場回数

甲子園出場回数は75回。これは2位の中京大中京を大きく引き離し、ダントツの最多出場回数である。特に、選抜出場回数(41回)は圧倒的な数字であり、平安は春に強いというイメージを持つ人が多いかもしれないが、成績を見ると意外とそうでもない。夏の甲子園では34回出場し、決勝戦に7回進出している。優勝回数は3回、通算成績は61勝31敗。70年代に低迷期を迎えたが、原田監督が就任してからは再び甲子園常連校となり、現在でもコンスタントに出場回数を重ねている。

②延長14回、雨中のナイトゲーム

1990年夏、3回戦の丸亀戦は降りしきる雨の中で行われた。試合は西村基治(のち神戸製鋼)と福家武(のち明治大)の息詰まる投手戦となり、0-0で迎えた14回表、丸亀は2死から真鍋が2塁打で出塁。続く山本康がフェンス直撃の3塁打を放ち、1点を先制した。その裏、平安も2死から山本尚、笠井の連続安打でチャンスを作ったが、続く西村が三振に打ち取られ、0-1で敗退。惜しくも準々決勝進出はならなかったが、これだけ闘ったことには平安ナインも満足したことだろう。

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(画像)1956年夏、優勝投手となった岩井喜治(のち明治大→日立製作所)。この年を最後に、半世紀以上優勝から遠ざかっている。

【評】

・戦前からコンスタントに実績を残している
・夏の初戦突破率が高い(81%)
・優勝が全て夏の甲子園

以上のことから、平安を10位に選出しました。上記にもある通り、夏の初戦突破率が高いため、夏に強いイメージがあります。2008年に「龍谷大平安」に改名してからは、勢いがなくなりましたが、2014年春に初の選抜優勝を達成し、古豪復活をアピールしました。初出場から100年近く経ちますが、現在でもコンスタントに出場回数を重ねているのは立派だと思います。


9位:箕島(和歌山)
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出場:17回
通算成績:37勝13敗
優勝:4回
準優勝:ー
初出場:1968年(春)
直近:2013年(夏)
主なOB:東尾修、島本講平、上川誠二、石井毅(木村竹志)、嶋田宗彦、吉井理人、山下徳人

【支持層(予想)】50代〜60代
【ポイント・名場面】①公立校唯一の春夏連覇、②定時制球児が優勝投手、③選抜史上初のサイクル安打

公立旋風で甲子園を沸かせた名門校が9位にランクイン。地方都市の県立高校だが、高校野球史に一時代を築き上げた。甲子園出場回数は17回。特に夏の甲子園では8回しか出場しておらず、高校野球ランキング上位校としてはかなり少ない方である。また、決勝戦には4回進出しているが、これまで一度も敗退したことがない。甲子園で幾多の名勝負を繰り広げ、1979年には公立校唯一の春夏連覇を達成。70年代に黄金期を築き上げ、「尾藤スマイル」は代名詞となった。『ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙~最強高校編~』でランクインしなかったのは、若者票が集まらず、春に強さを発揮していたからだと思われる。

①公立校唯一の春夏連覇

1979年、箕島は公立校唯一の春夏連覇を達成した。決勝の浪商(現・大体大浪商)戦では壮絶な打撃戦となったが、北野(後ほど紹介)が選抜史上初のサイクル安打を達成するなどの活躍で優勝。夏も苦しい試合の連続となった。3回戦の星稜戦では3-3の同点で迎えた18回裏、1死1、2塁で上野敬三(のち巨人)が左前打を放ち、4x-3で勝利。この試合は「高校野球史上最高の試合」と言われ、現在でも語り草となっている。準決勝、決勝では2試合連続1点差の攻防を制し、史上3校目の春夏連覇を達成。70年代に黄金期を築き上げ、「尾藤スマイル」は代名詞となった。

②定時制球児が優勝投手

1977年春、東裕司(のち三菱自動車水島)が定時制球児として初の優勝投手となった。左腕から投じる大きなカーブが武器であり、初戦の名古屋電気(現・愛工大名電)戦では1-0で完封勝利。2回戦の豊見城戦でも高めのボール球を振らせ、6安打8奪三振の好投を見せた。準々決勝の県岐阜商戦では3点を奪われたが、準決勝の智辯学園戦では2安打完封。決勝でも中村を3安打完封で下し、優勝を達成した。東は5試合中4試合を完封。エネルギッシュなピッチング、人一倍の精神力で注目を集めた。

③選抜史上初のサイクル安打

1979年春、北野敏史(のち松下電器)が決勝の浪商戦で選抜史上初のサイクル安打を達成した。1回に右前打で出塁すると、3回には中越え3塁打。7回には右翼ラッキーゾーンにソロ本塁打。8回には2塁打を放ったが、3塁まで走り、アウトになった。もし、これがセーフになっていれば、サイクル安打にはならない。記録のことなど、北野の頭にはなかったのである。準決勝まで12打数2安打と不調だったが、この日は5打数4安打4打点の活躍。チームの春夏連覇に大きく貢献した。

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(画像)3回戦の星稜戦。延長18回、3時間50分の熱戦であり、「高校野球史上最高の試合」と言われている。

【評】

・史上3校目、公立校唯一の春夏連覇を達成している
・接戦(1点差)に強い(12勝4敗)※延長戦は無敗
・甲子園で何かを起こしてくれそう

以上のことから、箕島を9位に選出しました。プロ入りよりも、ノンプロ(東裕司、北野敏史、岩田充裕、硯昌己など)選手の方が印象に残っているファンも多いかもしれません。10年間(1970年~1979年)で4度の優勝を果たし、高校野球史に一時代を築き上げました。それだけに、現在の低迷ぶりが残念でなりません。また、甲子園で公立旋風を巻き起こして欲しいものです。


8位:智辯和歌山(和歌山)
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出場:38回
通算成績:65勝34敗
優勝:3回
準優勝:4回
初出場:1985年(春)
直近:2020年(春)※中止
主なOB:宮崎充登、高塚信幸、中谷仁、喜多隆志、武内晋一、岡田俊哉、西川遥輝

強力打線が売りの名門校が8位にランクイン。1985年春に甲子園初出場を果たしてからは5回連続初戦敗退だったが、1993年夏に初の一大会で2勝を挙げると、その後は強力打戦の看板を引っ提げ、全国の強豪校に駆け上がった。1994年春、1997年夏、2000年夏に優勝。90年代に黄金期を築き上げ、現在でもコンスタントに出場回数を重ねている。名物の「ジョックロック」は「ビッグイニングを演出する曲」であり、「魔曲」として知られている。『ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙~最強高校編~』では3位にランクインした。

【支持層(予想)】30代
【ポイント・名場面】①夏の甲子園最多安打

①夏の甲子園最多安打

2000年夏、智辯和歌山は全試合「2桁安打7点以上」「100安打」で優勝を達成した。初戦の新発田農戦では22安打14得点。2回戦の中京大中京戦では12安打7得点。7回に6点を奪われ、1点差に詰め寄られたが、山野純平(のち龍谷大)の好リリーフで逃げ切った。3回戦のPL学園戦では19安打11得点。準々決勝の柳川戦では15安打7得点。7回を終わって4点のリードを奪われたが、武内晋一(のち早稲田大→ヤクルト)、山野の本塁打などで奇跡の大逆転勝利を収めた。準決勝の光星学院(現・八戸学院光星)戦では12安打7得点。決勝の東海大浦安戦では毎回の20安打を放ち、11-6で勝利を収めた。ちなみに、この勝利が和歌山県勢として記念すべき、甲子園100勝目となった。さらに、大会最多本塁打(11本)、大会最多塁打(157塁打)、大会最高打率(.413)の記録を樹立。ちなみに、大会最高打率は2004年夏に駒大苫小牧が.448に更新している。

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(画像)大会最多安打、大会最多本塁打、大会最多塁打、大会最高打率の記録を樹立した智辯和歌山。「打」でもぎ取った優勝だった。

【評】

・「打」で魅せるチーム
・延長戦に強い(5勝1敗)
・魔曲「ジョックロック」で底力を見せる

以上のことから、智辯和歌山を8位に選出しました。投手力は高くありませんが、それをカバーする打撃力があります。10年足らず(1994年~2000年)で3度の優勝を果たし、90年代に黄金期を築き上げました。21世紀に入ってからもコンスタントに出場回数を重ねています。『ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙~最強高校編~』では3位にランクインしましたが、20世紀では新鋭校ということもあり、5位以内には選出しませんでした。


7位:横浜(神奈川)
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出場:34回
通算成績:58勝29敗
優勝:5回
準優勝:1回
初出場:1963年(夏)
直近:2019年(春)
主なOB:苅田久徳、若林忠志、永川英植、愛甲猛、鈴木尚典、多村仁(仁志)、松坂大輔、成瀬善久、石川雄洋、涌井秀章、筒香嘉智、近藤健介

【支持層(予想)】30代
【ポイント・名場面】①史上5校目の春夏連覇、②選抜史上11校目の初出場・初優勝

関東を代表する名門校が7位にランクイン。野球部の歴史は意外と浅く、1946年に創部。1963年夏に甲子園初出場でベスト4入りを果たすと、渡辺元(現・渡辺元智)監督が就任してからは強豪校への道を歩み始めていくこととなる。1973年春、1980年夏に優勝。1998年には松坂大輔(のち西武→レッドソックス→メッツ→ソフトバンク→中日→西武)の活躍で史上5校目の春夏連覇を達成した。現在でもコンスタントに出場回数を重ねている。『ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙~最強高校編~』では4位にランクインした。

①史上5校目の春夏連覇

1998年、横浜は史上5校目の春夏連覇を達成した。春は松坂が全5試合を一人で投げ抜き、45イニングで失点はわずか4。春の県大会、関東大会、夏の県大会でも優勝を達成し、春夏連覇への挑戦権を手にした。準々決勝のPL学園戦では7-7の同点で迎えた17回表、2死1塁で常盤が2点本塁打を放ち、9-7で勝利。この試合は「球史に残る名勝負」として現在でも語り草となっている。準決勝の明徳義塾戦では6点のリードを奪われたが、8回に松坂の中前打などで4点を返すと、9回には佐藤の右前打を皮切りに、3得点を挙げ、7x-6で勝利。決勝の京都成章戦では松坂が史上2人目の決勝戦でのノーヒットノーランを達成した。さらに、神宮大会、国体を含む「4冠」。史上初の公式戦44連勝無敗も達成し、記憶にも、記録にも残るチームとなった。

②選抜史上11校目の初出場・初優勝

1973年春、横浜は選抜史上11校目の初出場・初優勝を達成した。初戦の小倉南戦では長崎誠(のちリッカー)が史上初のサヨナラ満塁本塁打を記録。投げては永川英植(のちヤクルト)が重い速球で相手打者を手玉に取り、決勝まで勝ち進んだ。決勝の広島商戦では永川と佃正樹(のち法政大→三菱重工広島)の息詰まる投手戦となり、両チーム無得点のまま試合は延長戦に突入した。1-1の同点で迎えた11回表、横浜は2死1塁で冨田が2点本塁打を放ち、3-1で勝利。初出場の新鋭校が古豪をパワーで打ちのめす。ドラマチックな「横浜伝説」はここが原点であり、ファンの注目も一気に高まった。

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(画像)優勝の立役者となった永川。銚子商の土屋正勝(のち中日→ロッテ)、土浦日大の工藤一彦(のち阪神)と並び、「関東三羽ガラス」と呼ばれた。

【評】

・史上5校目の春夏連覇を達成している
・平成の怪物(松坂)の印象が強い
・70年代~2000年代まで、4つの年代で優勝を達成している(1973年春、1980年夏、1998年春夏、※2006年春)※はランキングに影響なし

以上のことから、横浜を7位に選出しました。20世紀に限定すれば、決勝戦で敗退したことは一度もありません。公式戦44連勝無敗、史上5校目の春夏連覇でファンに強烈な印象を残しました。21世紀に入ってからもコンスタントに出場回数を重ねています。『ファン10万人がガチで投票!高校野球総選挙~最強高校編~』では4位にランクインしましたが、松坂の印象だけということもあり、5位以内には選出しませんでした。


▼中編


▼後編


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・北野敏史(野球選手)
・山野純平(野球選手)

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・『高校野球100年記念 高校野球強豪校伝説 甲子園の歴史を彩ってきた古豪、新鋭が勝利順で一挙登場!』 ベースボール・マガジン社, 2015年, pp.16-17, p.36, p.40, p.58
・『高校野球がまるごとわかる事典』森岡浩, 日本実業出版社, 2005年, pp.28-29, pp.50-51, pp.54-55
・『NIPPON SPORTS MOOK 甲子園春夏優勝校物語 大旗に熱く燃えた[85校]熱闘の軌跡』日本スポーツ出版社, 2001年, pp.230-232
・『ホームラン ザ・甲子園 栄光の甲子園出場校ベスト100』日本スポーツ出版社, 1983年, p.48, p.72, p.96
・『激闘甲子園「不滅の大記録」』宝島社, 2013年, pp.104-105
・『高校野球連覇伝説 甲子園を沸かせた熱闘の記憶』ベースボール・マガジン社, 2013年, pp.60-61, pp.64-65
・『ホームラン 栄光の甲子園 春夏優勝投手 平古場昭二から桑田真澄、渡辺智男まで』日本スポーツ出版社, 1985年, p.28, pp.100-101
・『ゴング5月号増刊 学生野球2 センバツ総集・大学野球開幕号』日本スポーツ出版社, 1977年, pp.64-65
・『別冊週刊ベースボール陽春号 第51回選抜高校野球大会総決算』ベースボール・マガジン社, 1979年, p.102
・『輝け甲子園の星 センバツ大会号』日刊スポーツ出版社, 1979年, p.22
・『アサヒグラフ増刊 9月5日号 '90甲子園の夏 第72回全国高校野球選手権大会 オールカラー全試合収録』朝日新聞社, 1990年, pp.104-105
・『週刊ベースボール 7月214日号 高校野球スペシャル! 強豪校伝説』ベースボール・マガジン社, 2014年, p.25, p.28

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・ 1枚目:『NIPPON SPORTS MOOK 甲子園春夏優勝校物語 大旗に熱く燃えた[85校]熱闘の軌跡』日本スポーツ出版社, 2001年, p.82
・ 2枚目:『高校野球100年記念 高校野球強豪校伝説 甲子園の歴史を彩ってきた古豪、新鋭が勝利順で一挙登場!』 ベースボール・マガジン社, 2015年, p.18
・ 3枚目:『高校野球名門校シリーズ7 箕島高校野球部 尾藤スマイルの継承』ベースボール・マガジン社, 2015年, p.13
・ 4枚目:『英雄神話Dramatic SPORTS Vol.15 特集 甲子園の激闘 魔物の棲むグラウンドで若き怪物たちも涙した』徳間書店, 2002年, p.27
・ 5枚目:『アサヒグラフ増刊 9月5日号 2000甲子園の夏 第82回全国高校野球選手権大会完全記録』朝日新聞社, 2000年, p.11
・ 6枚目:『平成甲子園 ~高校野球真夏の名勝負~』日刊スポーツ出版社, 2008年, p.48
・ 7枚目:『スポーツ・スピリット No.28 高校野球 甲子園優勝物語 [特別保存版] 歴代春夏甲子園大会出場4875チーム全メンバー表』ベースボール・マガジン社, 2006年, p.79
・ 8枚目:『ホームラン 栄光の甲子園 春夏優勝投手 平古場昭二から桑田真澄、渡辺智男まで』日本スポーツ出版社, 1985年, p.100


最後まで目を通して頂きありがとうございました。

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